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「気持ちの聴き方・伝え方」

2014/09/12 13:55〜14:40

@神の倉中学校
講演者: 土屋耕治
(南山大学人文学部心理人間学科講師)

今日のお話の流れ
1. 自己紹介,ねらい
2. 気持ちを聴くこと,伝えることの大切さ
3. エピソードから考える
4. 気持ちの伝え方
5. 気持ちの聴き方
6. やっかいな気持ちのあつかい方
7. まとめ

1.1 自己紹介
・土屋耕治
・南山大学人文学部心理人間学科講師
・社会心理学,体験学習

1.2 今日のお話の目指す所
・気持ちの聴き方・伝え方について,新しいやり方を使ってみようと思える。

2.1 人間関係の大切さ
・これからもずっと大事になってくる。人と協力して様々なものを創りあげていく機会が社会にはある。
・平成26年度 名古屋市立神の倉中学校 グランドデザインより
・「Be heartful! 温かい心で他者を思いやる、感受性豊かな生徒の育成―“つながる力”を育む活動を通して―~「神中ブランド」の継承と発展~」
・「思いやりをもって相手の意見を聞くことができる、温かい心の生徒を育てたい」

2.2 気持ちを大切にあつかうこと
・人間関係において気持ちを大切にあつかうことが,大事。
・自分の気持ち,相手の気持ちを大切に扱いながら物事を進めていくことがコツ

2.3 「気持ち」って何?
・「気持ち」とは,
・起こったこと+自分にとってどうか,という判断が入る
・同じ出来事でも,人によって感じる気持ちは違いますよね。

・まずは,自分の気持ちを自覚すること。それに言葉を与えること。
・適切に伝えること。適切に聴くこと。

・今回は,ジバニャン (妖怪ウォッチ) のエピソードをもとに,気持ちの伝え方・聴き方について考えてみましょう。

3.1 ジバニャンのエピソード
・飼い主のえみちゃんを助けようとして,車にひかれてしまう。
・えみちゃんに「車にひかれたくらいで死ぬなんて,ダサ。」と言われる。
・→ショックで成仏できず,地縛霊に。
・地縛霊 (じばくれい) のネコだから,ジバニャン

3.2. 自分の気持ちのつかまえ方
・もし,自分がジバニャン (アカマル) の立場だったら・・・
・なんでそんなこと言うんだろう。ひどい。
・今まで,かわいがってくれていたのは,嘘だったのかな。怒れてくる。
・もう,えみちゃんなんて大嫌いだ!!
・→大人もびっくり。「えみちゃんはひどい性格だ。冷たい人間だ。」

でも,実は・・・

3.3 ジバニャンの秘密
・「私のこと分かってくれるのお前だけだよね。お前はずっと私と一緒にいるんだよ。私デザイナーになりたいんだ。」と言っていたことを思い出した。
・ひかれてしまった後も,「もしかして,死んじゃった?私を守るために死んじゃうの?車にはねられたくらいでいなくなるの?そんなのダサ。ダサすぎるよ」「なんで,なんでだよ,アカマル〜泣」
・→「えみちゃんは,自分のことを嫌いになっていなかった。えみちゃんの気持ち,あったかいにゃん。」

3.4 えみちゃんの立場から
・もし,自分がえみちゃんの立場だったら・・・
・なんで死んでしまったのか,受け入れられない。
・アカマルがいなくなるのは,嫌だ。
・自分を守ろうとして,と考えると,自分の責任もあるんじゃないか。

・えみちゃんは,これらの感情がわきおこっていたことを自分で分かっていたのか?
・これを適切に表現する言葉を持っていなかった。上に書いたことは,「ダサい」では伝わらないだろう。少なくとも,アカマルには伝わらなかった。

・残念ながら,えみちゃんの伝え方はよかったとは思えなさそうですね。

・じゃあ,他にどういう可能性があったでしょうか。

4. 気持ちの伝え方

4.1 気持ちの伝え方1

・1. 感情によい,悪いはありません
・感情によい,悪いはありません。どんな感情でも感じてよいですよ。
・すっごくうれしく感じた,でもよいです。
・みんなが楽しんでいるのに,楽しめない,でもよいです。
・今は,怒っているかわからないけど,もやもやしているなぁ,でもいいです。
・なかなか難しいかもしれませんが,まずは,自分の気持ちを丁寧に見つめてみようとしていくとよいと思います。

・2. 「私メッセージ」で自分の気持ちや考えをつかむ
・「私は〜」と,主語をつけて考えてみましょう。
・私のない表現: 急げ!
・私のある表現: 私はあなたにもう少し急いでもらいたいです。
・えみちゃんの「ダサ」は,「私は〜」のないメッセージですね。
・「私は〜」をつけて言い換えてみるという練習を,少しずつでもしてみると自分の気持ちをつかめるようになってくると思います。

・3. アサーション権を考える
・アサーションとは,「自分も相手も,それぞれの思いを表現すること」
・私たちは,誰もが「自分も相手も,それぞれの思いを表現する」権利を持っている。
・私たちは,誰からも尊重され,大切にしてもらう権利がある。
・これは,人が生まれ持った権利 (人権) だと思います。

・4. 色々と言葉を使って,気持ちにフィットするような言葉を使っていく
・感情は覚えるという側面もある。
・例,「こんなこともできないの?」と言われ,「うざい」と感じて,「むかつく」と言った。
・「うざい」を言い換えてみると?「むかつく」を言い換えてみると?

・うざい→「こんなこともできないと言われ,上から見られている気がしてしまい,私は怖く感じた。嫌な感じがした。」

・こうしたことを伝えたら,「そういうつもりで言ったんじゃない。ごめん。」
・「こんなこともできないの?」とは,「これくらいのことは,コツをつかめばできるから,教えてあげたいよ」ということだったかもしれません。

・ここまでの話を聞いて,もし,自分がえみちゃんならば,「ダサ」ではなく,どういう言葉を使えばより伝わるでしょうか。
・えみちゃんへのアドバイスを考えてみましょう。

・えみちゃんへのアドバイス
・「私を守ろうとして死んじゃうなんて,とてもつらい。自分を責めてしまう気持ちもある。混乱してもいる。アカマルがいなくなってしまうと思うと,私はさびしいし,とても嫌だ。私は悲しい。」と言えれば,アカマルに伝わったのでは?
・何が実際にあったことか + 「私は」どういう感情を感じたのか,という表現です。

5. 気持ちの聴き方

5.1 ジバニャンの悲劇

・えみちゃんの言葉の選び方の問題も一つでした。
・やりとりができなかったこと (アカマルが「聴く」チャンスがなかったこと) も伝わらなかった原因の1つでしょう。

・今度は「気持ちの聴き方」について考えてみましょう。

5.2 気持ちの聴き方

・相手の言っていることを共感を込めて聴く
・ここでの「共感を込めて聴く」とは,相手の立場に立って,相手の見方から,相手の思いを理解しようとする姿勢や態度です。
・もちろん,感情は人それぞれですから,同じ感情にならないことも多くあります。
・大事なのは,言葉にできていないものまでも受け取ろうとすること,相手の気持ちや意図を知ろうとする心がけだと思います。

・具体的には,
・a. 「へぇ−」「ふーん」「そうか」「なるほど」「そうなんだ」など,話を聴いていることを伝える。
・b. 表情を真剣に聴く。もちろん相手の様子に基づいて変化させる。
・c. タイミングよく,相づちをうつ。
・d. 「それって,こういうこと?」「xxだったんだね。」と言い換えをしてみる。
・e. 適切な質問をする。
・例「xxについて知っている?」知らなかったとしても,「xxのどういうところが好きなの?」と聞いてみる。

・こういったことをすることで,相手は自分を大切にしてもらっている,話を聴いてもらっていると思うでしょう。

6. やっかいな気持ちのあつかい方

6.1 怒りのあつかい方

・怒り,といった負の感情はあつかいが難しいものの1つです。
・感じることは,自然なことですが,それをどう表出するか,にはコツがあります。

・あつかい方を考えてみましょう。

6.2 怒りのあつかい方

・a. 自分が怒っているな,と自覚すること。
・b. 怒りのレベルが低い内に,早めに伝える。爆発するまでためない。
・「xxってあったよね。私は,あれに嫌な感じがするんだ。他のことに変えてもらってもいいかな。」→伝えられた側は,そんな影響を与えていたとは知らないこともたくさんあります。
・c. 物理的に距離を取る。
・d. 何でこんなに怒れるんだろうか,と考える。

6.3 緊張や怒りをやわらげる

・1. 目を閉じて,呼吸を数える
・実際にやってみると色々思い浮かびますが,ただ,呼吸を数えることに集中して,ゆっくり10まで数えてみると,落ち着いていくと思います。

・2. 不安や怒りやもやもやが収まらない時
・→自分だけが見るノートを作って,正直に感じていることを書き出してみる。めちゃくちゃな言葉,ひどい言葉でもOK。
・その際は,先ほどと同様, 何が実際にあったことか + 「私は」どういう感情を感じたのか,ということを書くと整理できます。
・→言葉という構造を与えることになるので,扱えるようになる。

・3. 緊張して,フワフワしてしまった時
・→人差し指の第1関節と第2関節の間を,少し噛んでみる (強くやりすぎないこと)。
・私の場合,気持ちが浮ついてしまっているときは,痛くない。
・→痛いと感じられると,平常心になる。

7. まとめ
・気持ちを大切に伝え,聴くことがコツ
・自分も相手も,それぞれの思いを表現する権利,そして,誰からも尊重され,大切にしてもらう権利がある。
・「私は〜」という視点で自分の気持ちを考えてみる,伝えてみる。
・うなづき,言い換えなどを通して,相手の気持ちを聴こうとする。
・これらのことは,これから一生皆さんを助けてくれることだと思っています。ぜひやってみてください。